コンセプト

 

羽鳥誠の制作コンセプトは、美的表現における相互作用と外部性への目覚めを強調する。美的表現とは未完成であり、他者との交流から生じる不確実な意識によって形成され、具体的な対象ではないありのままの状態から生まれる。美的表現は絶え間なく変化する主体と外部世界の共存によって成立する。美的表現は対象ではなく非対象的な性質を持ち、その積極的な存在を捉え、他者との連携によって連続的に変化する体験を通じて生き生きとした身体性を帯びる。

 

文化的な劣等感やイデオロギー的欠如から生じるある種の脆弱性は、日本の美意識に浸透する多様性を象徴する装飾の興隆をもたらした。これが特に侘び寂びの芸術として顕著に現れる。曖昧さを受け入れ、内省の反復を繰り返すことが、日本の美学の核を体現している。これはこの世とあの世をありのままに受け入れることを意味する。これらの曖昧で多様な美的価値観は、私がいうところの「弱者の美学」である。私の作品は、自己完結した、あり様の領域の制約から解放し、自律的な制約に抵抗する状態性の認識を促すものである。

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